本文へ移動
nokoru ホーム技術と技能、人の記憶を残す図鑑

人の記憶

経験なし、50歳を超え CA に。子育てを終えた母親の新しい時間の使い方。

ときに笑い、ときに悩み、長いようで短く、楽しかった子育て。 息子たちも社会人となり、時間の使い方を改めて考えさせられる。 30歳を超えた息子が二人いる母親を取材した。

雲の上に広がる空と飛行機の翼を描いたイメージ

ときに笑い、ときに悩み、長いようで短く、楽しかった子育て。
息子たちも社会人となり、時間の使い方を改めて考えさせられる。
30歳を超えた息子が二人いる母親を取材した。

ごくごく普通のOL

窓辺の仕事机と隣の小さな机を描いたイメージ

神奈川県横浜市で生まれ、茨城県取手市で育ったゆうこさん。
趣味は旅行、映画・音楽鑑賞。
短大を卒業して、建築会社のOLとなったゆうこさん。入社当初は慣れないこともあり、社会人って大変だな...とつくづく感じたそう。
休日になると友達と旅行したり、映画を見に行ったり、仕事も頑張りつつ羽も伸ばしながら日々を過ごしていた。

一見するとごくごく普通のOLさん。
そんな、ゆうこさんには密かに思い描く夢があった。

「お金を貯めて海外留学するんだ」

若者なら一度は思い描く海外留学。
しかし、今とは違い当時は海外旅行でさえ準備は大変。留学には大きな行動力と決断が必要だった。
海外に憧れながらも夢半ばで諦める若者は多かった。

訪れたひとつのゴール

水辺に散る葉と向こう岸の光を描いたイメージ

仕事にも慣れ、職場では新人に仕事を教えるほど成長したゆうこさん。
会社からの信頼も得ることができ、仕事の楽しみも実感し始めていた。

そんなある日、通帳を改めて確認する。

「...こんなに溜まってたんだ。」

夢中で過ごしていた日々、いつの間にか留学できるほどの金額が通帳に記されていた。
職場でも友達ができたし、仕事にも慣れてきた。留学するとひとりぼっちかも...
英会話だって、できるわけじゃない。旅行とはわけが違う。
そもそも、生活していけるのか...

さまざまな葛藤があり、このまま日本でOLを続けようとも考えた。
本当に自分が好きなこととは何か。自分が自分である瞬間は何か改めて考えた。

旅行が好きで、映画が好きで、海外が好きな自分に正直になろう。
自分に正直な気持ちで進みたい道へ進もう。

そして、ゆうこさんは決断する。

海外留学へ。

アメリカへ。そして出会い。

川を挟んだ都市の輪郭と小さな鞄のイメージ

家族や友達の応援もあり、ゆうこさんは念願のアメリカへ留学することとなった。
その国の人々に触れ、さまざまな文化を知り、毎日が発見の連続だった。

楽しいことばかりでなく、辛い日もあった。
言葉がうまく通じなくて、自分の小ささを知り、涙する日もあった。

そんな日々を支えてくれて、華やかにしてくれた男性。
その方がのちにご主人となり、ゆうこさんはアメリカに住むこととなる。

金融業界で働くアメリカ人のご主人。働き者で家庭的で、毎日が楽しくて。
ご主人の仕事の関係で、日本を行ったりきたりすることもあった。

改めて帰る日本をしみじみと感じ、そしてまたアメリカへ。
そんな飛び回る忙しい日が続く中、子供が生まれ母となる。

待ちに待った家族

大きさの異なる茶碗が並ぶ食卓のイメージ

憧れの留学を果たし、英語にも自身が出てきた。
アメリカ人の素敵なご主人とも出会い、そして夢にまで見た我が子を授かる。
海外で暮らすことはあっという間だったけど、これからはもっと大切な時間を過ごさなきゃ。

子供たちと目指す次のゴールへ向かうゆうこさん。
しかし、幸せな日々を過ごしながらも、孤独を感じることもあったという。

子供ができた頃には、アメリカに友達は少なく母親に頼ることも難しく。
初めての子育ては不安の連続で、慣れない土地での生活はより大変なものと感じた。

ご主人と支え合いながら大変だけど、楽しくて、嬉しいけれど、辛くて。
泣いたり笑ったり、、忙しい日々。そして息子たちは社会人に。

立派に子供を育て上げたゆうこさんは、息つく暇もなく新たな挑戦に。

50歳で迎える新たなる道

開いたスケッチブックと木製の小物を置いた学びのイメージ

子育てを終えたゆうこさんは、新しいゴールを模索し始めていた。
見知らぬ土地で、親も友達もおらず、子供たちを育て上げた母親はとても前向きでキラキラと輝く、前向きな女性に感じる。しかしゆうこさんはこう続けた。

「すごく恥ずかしくて、不安だったんですけど...」

次の道に進むことに大きな不安を感じており、前向きではない感情もあったようだ。
アメリカの航空会社が日本語を喋れる乗務員を募集しており、不安を感じながらも応募することに。

そして、新たな道へ進むこととなった。

1ヶ月間のトレーニングは非常に厳しいもので、辛く感じる日もあったという。
挫折しそうになるそんな日々を支えてくれ、楽しみに変えてくれたのはかけがえのない家族だった。

トレーニングを終えると、キャビンアテンダントのテストがある。
学習が身についたかチェックされ、当然不合格となることもあるが、、ゆうこさんは見事に合格する。

そして、初めての搭乗。
その時、ゆうこさんは緊張と安心の狭間でこう感じたという。

「ああ、これが私の天職なんだな...」

キャビンアテンダントの仕事にも慣れ、日々楽しみながら、時には悩み前に進んでいる。
しかし、ゆうこさんの道に終わりはない。

更なる一歩を歩んでいく

石畳の分かれ道と遠くの灯りを描いたイメージ

ゆうこさんはご両親が共働きであったため、自分自身が母親となったら専業でありたいな、という願いがあったそう。
その思いを果たし、専業主婦として子供たちを育て上げた。

子供たちが親の手を離れると、何か働きたいなと考えるようになったそうだ。
それはきっと働き者のご両親の血が、ゆうこさんに脈々と流れる証拠かもしれない。

そして、見事にキャビンアテンダントの道に進み、そしてこの先には観光ガイドの資格を活用したビジネスにも挑戦したいという。
それだけではない。
なんと、フランス語の勉強もしたいそうだ!

不安や悩みを感じながらも、粛々と日々を重ね、さまざまな経験・スキルを身につけたゆうこさんに怖いものはないのかもしれない!
しかし、ゆうこさんは続けた。

「チャンスは思いがけない時にやってきます。今は大変な時期だけど、目の前の課題をこなし、いつか訪れるチャンスを逃さないように。」

掴んだチャンスの裏には、さまざまな葛藤と辛い感情、悲しみもある。
しかし、「夢」を描き進んで行くことこそに人生の楽しみがあると考えさせる取材となった。

挑戦の連続だったゆうこさんのお話は非常に考えさせられ、また説得力があり、有意義な内容に感じた。
そして、さらにこう続けた。

「あと、ホスピスについても勉強したいと考えていて...」
「それから...心理的な不安の解消とエクササイズの関係性について学びたい...」

なんと前向きなのでしょう。ゆうこさんの大いなる道はまだまだ始まったばかりのようです。

人の記憶の記録を見る ↗